連載第13回目の薬草観察記。
今回の観察場所は、①11月11日 塩見川河口付近(宮崎県日向市) ②11月13日南阿蘇ビジターセンター付近(熊本県高森町)です。
11月7日〜11月11日頃は七十二候の第五十四候、初冬>立冬>山茶始開 (つばきはじめてひらく)、すなわち、サザンカの花が咲き始める頃。
11月12日〜17日頃は第五十五候、初冬>立冬>地始凍(ちはじめてこおる)、すなわち、大地が凍り始める頃となります。
年末に向けて冬が少しづつ深まりつつありますね。
久し振に 
來て泊りをれば この庭の 
山茶花のはな 
咲きそめしかな (黒松)
若山牧水(黒松)
 
【凡例】
(薬)=薬草
(食)=食用
(毒)=毒草
(材)=建材や和紙などの生活用品の材料として利用されるもの
(油)=油の原料になるもの
(観)=専ら観賞して楽しむ植物
(樹)=街路樹、公園樹、防風樹、防火樹などに植栽される植物
(牧)=若山牧水の短歌に登場する植物
(用途不明)=薬用、食用、毒性などの用途が不明な植物※私が勉強不足な場合もあります(^-^;
 11月11日 塩見川河口付近(宮崎県日向市)
久しぶりに塩見川河口付近を散策。
暦の上では冬とはいえ、それほど寒くないので、開花している植物も結構観察できました。同時に夏から秋に開花した植物の果実も観察できました。
 クコ(薬・食)。近所に自生していたことに感動。葉、果実、根、全てが薬草になる。果実のクコの実は中華食材としておなじみ。杏仁豆腐の上にのっている赤いやつです(^^♪
クコ(薬・食)。近所に自生していたことに感動。葉、果実、根、全てが薬草になる。果実のクコの実は中華食材としておなじみ。杏仁豆腐の上にのっている赤いやつです(^^♪
 季節外れスイカズラ(薬)の花。桜が秋に開花したと同じくこれも台風の塩害の影響でしょうか?解熱・鎮痛作用があります。花は薬酒にも。
季節外れスイカズラ(薬)の花。桜が秋に開花したと同じくこれも台風の塩害の影響でしょうか?解熱・鎮痛作用があります。花は薬酒にも。
 センダンの実。黄色く色づいています。薬用になりますが毒性もあります。
センダンの実。黄色く色づいています。薬用になりますが毒性もあります。
 ツワブキ(食)。あく抜きして甘辛く煮るキャラブキが定番料理。
ツワブキ(食)。あく抜きして甘辛く煮るキャラブキが定番料理。
 トキワサンザシ。赤い果実が景色に彩を添えますね。薬用にはしないと思いますが。
トキワサンザシ。赤い果実が景色に彩を添えますね。薬用にはしないと思いますが。
 ナンテン(薬)。果実を咳止めに煎服。のど飴でおなじみ。
ナンテン(薬)。果実を咳止めに煎服。のど飴でおなじみ。
 ビワの花芽。この時期に開花し、翌年5~6月頃に実を結ぶ。開花から結実までが非常に長いですね。
ビワの花芽。この時期に開花し、翌年5~6月頃に実を結ぶ。開花から結実までが非常に長いですね。
 海岸沿いに見られるマルバアキグミ(食)。生食は渋いので薬用酒に漬け滋養強壮に。
海岸沿いに見られるマルバアキグミ(食)。生食は渋いので薬用酒に漬け滋養強壮に。
 ヤツデ(薬)。花芽が観察できました。リウマチなどに入浴剤として利用。
ヤツデ(薬)。花芽が観察できました。リウマチなどに入浴剤として利用。
 ヨメナ(薬・食)。たくさん開花していました。春先の新芽をヨメナ飯に。
ヨメナ(薬・食)。たくさん開花していました。春先の新芽をヨメナ飯に。
 ハゼノキ。果実・種子が房状に多数ぶら下がっているおなじみの光景。それにしても葉は新緑で果実は枯れている光景は不思議と言えば不思議かもしれません。
ハゼノキ。果実・種子が房状に多数ぶら下がっているおなじみの光景。それにしても葉は新緑で果実は枯れている光景は不思議と言えば不思議かもしれません。
11月13日 南阿蘇ビジターセンター(熊本県高森町)
南阿蘇で薬草観察会が開催されました。20年以上継続して開催されている歴史のある薬草観察会で、薬学部の先生方を中心とした見識豊かな先生方が、薬草を楽しく解説していただけるので毎回楽しみにしています。
小雨降るあいにくの天気でしたが、個人的には雨の撮影は慣れています。地元ではなかなかお目にかかれない植物がたくさん観察&撮影できました(^^♪
 毎回南阿蘇ビジターセンター周辺が観察コースになっています。
毎回南阿蘇ビジターセンター周辺が観察コースになっています。
 エノキの果実。赤い実は甘くて食べられます。果実の薬用酒は滋養強壮に。
エノキの果実。赤い実は甘くて食べられます。果実の薬用酒は滋養強壮に。
 
 阿蘇にはエノキが多く自生していました。
阿蘇にはエノキが多く自生していました。
 キカラスウリ。根は咳止め、解熱薬として煎服。根からとれる澱粉が天花粉。
キカラスウリ。根は咳止め、解熱薬として煎服。根からとれる澱粉が天花粉。
種子は咳、痰に煎服。
 キジカクシ(食)。アスパラガスの原種。
キジカクシ(食)。アスパラガスの原種。
 コウゾリナ(用途不明)。枯れかけていました。残り少ない花を撮影。
コウゾリナ(用途不明)。枯れかけていました。残り少ない花を撮影。
 サザンカ(油・鑑)。ツバキより花期が早いです。ツバキ同様、種子から油が採れる。
サザンカ(油・鑑)。ツバキより花期が早いです。ツバキ同様、種子から油が採れる。
 シマカンギク(薬)。抗炎症作用があり、花粉症の症状に、また、かすみ目、視力低下など目の保健に煎じて服用。別名、苦菊というだけあり苦い。
シマカンギク(薬)。抗炎症作用があり、花粉症の症状に、また、かすみ目、視力低下など目の保健に煎じて服用。別名、苦菊というだけあり苦い。
 トチノキ。どんぐりからトチ餅を作ります。長時間あく抜きするなどたいへん手間暇かかりますが…。
トチノキ。どんぐりからトチ餅を作ります。長時間あく抜きするなどたいへん手間暇かかりますが…。
 「マユミ」(毒)。果実に有毒成分を含み、ひどい下痢になるとか。食べないでください。
「マユミ」(毒)。果実に有毒成分を含み、ひどい下痢になるとか。食べないでください。
 こちらは「コマユミ」。
こちらは「コマユミ」。
 コマユミの果実。マユミと違い果実がむき出しになる。
コマユミの果実。マユミと違い果実がむき出しになる。
 リンドウ(薬)。清楚な草姿が好印象。枯れ草が多いなかにひと際人目を惹きます。乾燥した茎・根を苦味建胃薬として。
リンドウ(薬)。清楚な草姿が好印象。枯れ草が多いなかにひと際人目を惹きます。乾燥した茎・根を苦味建胃薬として。
 接触性皮膚炎必発のツタウルシ(毒)。絶対触らないように。
接触性皮膚炎必発のツタウルシ(毒)。絶対触らないように。
 トウカエデ(用途不明)。葉が3裂しているのが特徴。日が当たるところがよく紅葉する。
トウカエデ(用途不明)。葉が3裂しているのが特徴。日が当たるところがよく紅葉する。
まとめ
久しぶりに県外での薬草観察会でした。地元ではお目にかかれない薬草があり、また先生方の見識の深さも相まって大変勉強させていただきました。
帰りにY先生から生ローゼルのお土産があり、ハーブティーにしていただきました。
また機会があれば県外にも足を延ばしてみたいと思います。
次は大分あたりかな。
 ローゼルの果実。赤い愕をハーブティーにする。
ローゼルの果実。赤い愕をハーブティーにする。
 酸っぱくて爽やかな味わい。疲労回復効果があります。
酸っぱくて爽やかな味わい。疲労回復効果があります。
【凡例】
(薬)=薬草
(食)=食用
(毒)=毒草
(材)=建材や和紙などの生活用品の材料として利用されるもの
(油)=油の原料になるもの
(観)=専ら観賞して楽しむ植物
(樹)=街路樹、公園樹、防風樹、防火樹などに植栽される植物
(牧)=若山牧水の短歌に登場する植物
(用途不明)=薬用、食用、毒性などの用途が不明な植物※私が勉強不足な場合もあります(^-^;