草地のマメ科三兄弟|ヤハズエンドウ,スズメノエンドウ,カスマグサ

草地のマメ科三兄弟|ヤハズエンドウ,スズメノエンドウ,カスマグサ

2023年4月24日
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草姿そうしのよく似たマメ科の植物3種

3~4月にかけて草地でよく見かける、ヤハズエンドウカラスノエンドウ)、スズメノエンドウ、カスマグサの違いを観察しました。

自宅近くの空き地に探しに行ったら、3種類とも同じ場所であっさり発見(^^♪

このマメ科3兄弟は基本同じ場所に生えているものなのでしょうか?

他の場所の観察も必要ですね(^^

左から順にヤハズエンドウ、カスマグサ、スズメノエンドウ
SDカード(3cm×2.3cm)と比較

ヤハズエンドウ(カラスノエンドウ) Vicia sativa L. subsp. nigra (L.) Ehrh.

花の色は紫で3兄弟の中ではヤハズエンドウが最も大きい。マメ科だけにエンドウの花に雰囲気が似ている。
裏から見た写真。葉柄から1~3個花をつける。花柄は短い。
草姿は葉、茎、高さいずれも3兄弟の中では最も大柄。葉身は1.5~2cmほど。
葉柄基部の托葉に黒い斑点。これが蜜腺。
花外蜜腺に蟻が集まってきている。
新芽部分のアブラムシが見えますでしょうか?
新芽は栄養豊富でアブラムシがよくつく。
左はアブラムシを狙うアブの一種?たまたま撮影。
ヤハズエンドウの豆果。種子が10個観察できる。他の2種に比べて倍以上大きい。

スズメノエンドウ Vicia hirsuta (L.) Gray

葉、茎、高さいずれも最も小さい。葉身は1cm弱。『カラス』に対してまさに『スズメ』サイズ。
スズメノエンドウの花。最もサイズが小さい。
花柄の先に4~5個の花をつける
背面から見た花の写真
葉腋から伸びる花柄は長い
スズメノエンドウの豆果。種子が3つ観察できる。前回掲載のカスマグサの豆果とほぼ同じ大きさ。

カスマグサ Vicia tetrasperma (L.) Schreb.

『カ』ラスと『ス』ズメの間をとって『カスマ』グサとしたのが名前の由来。

花はスズメノエンドウよりやや大きい
葉腋から伸びる花柄は長い。
スズメノエンドウより花柄が細い。
葉、茎、高さいずれもスズメノエンドウに近い。
葉身は1cm前後。
無毛の豆果に通常種子が4つ入っているらしいが、3つのものも観察できた。

あとがき

花外蜜腺を備えているのは、蟻をおびき寄せて新芽につきやすいアブラムシを捕食させるヤハズエンドウの戦略ではないかとの卓見をSNS上で述べておられる方がいらっしゃいました。

ヤハズエンドウの新芽は栄養豊富でアブラムシがつきやすいため、非常に理にかなった説だと思います。

ただし、スズメノエンドウとカスマグサには花外蜜腺はありません。

三種ともマメ科の植物のため、根粒菌の働きで窒素固定を行い土に栄養を与えます。

種子を取っておいて、冬場の農閑期に畑にまいておけば、春先に発芽して健全な土づくりに役立つかもしれないと思いました。

またいずれも食用可能で、ほんのり豆の風味がします。

機会があれば料理や健康茶づくりを試してみたいと思います。

参考文献はこちらをご覧ください(^▽^)/