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11月1日、第8回「みんなの薬草観察会」を盛会のうちに無事に終えることができました。
2015年に日向市の「薬草の里づくり事業」に関わってから、早いもので10年以上。
薬草観察会や薬草料理、カモミールの収穫支援など、さまざまな活動を続け、今年8月には『ひむか薬草ガイドブック』を出版することができました。
そして今回、その本を観察会のテキストとして初めて活用する記念すべき回となりました。
今回の観察会を一つの節目として、改めて考えたことがあります。
現代医療に携わる薬剤師として、
これからどのような考え方で薬草の活動を続けていけばよいのか。
科学的根拠を大切にしながら、薬草の魅力や楽しさをどのように広めていくのか。
現時点での私なりの考えを整理してみたいと思います。

薬草は暮らしの延長にある
現代医療は、科学的根拠に基づいて病気を診断・治療する、大切な社会の仕組みです。
私自身、普段は病院薬剤師として抗がん剤治療などの薬物療法に携わっています。
一方、薬草には、古くから人々の健康を支えてきた歴史がありますが、その薬効については、科学的根拠が十分に確立されていないものも少なくありません。
それでも、薬草の魅力は、病気を治すことだけにあるのではないと思います。
病院に行くには、時間をつくって受診する必要があります。
一方、薬草に親しむことは、もっと気軽に始められます。
庭でカモミールを育てる。
散歩の途中で植物を観察する。
季節の植物を料理に取り入れる。
薬草は日常生活の延長にあり、
自分が主役になって楽しめる健康づくりの一つです。
病気でなくても始められ、日々の心や体の調子に目を向けるきっかけにもなります。
医療に携わる立場だからこそ、科学的根拠を大切にしたい。
一方で、科学的根拠が十分でないことだけを理由に、薬草に親しむ人々の価値観まで否定しない。
私自身も薬草愛好家の一人として、
一人ひとりの思いを尊重し、大切にしたいと考えています。

楽しく続けるために大切なこと
薬草に親しむことは楽しいものです。
健康にも役立てられれば、なおうれしいことでしょう。
しかし、天然のものだから安全というわけではありません。
薬草には有毒なものもあり、
医薬品との相互作用にも注意が必要です。
『ひむか薬草ガイドブック』にも、薬草の効能や利用されてきた病名などを掲載していますが、
伝統的な利用法を紹介することと、薬草による自己治療を勧めることは別です。
病気が疑われる場合には、薬草による自己判断の治療に頼らず、適切な医療を受けることが大切です。
また、治療中の方が薬草を利用する際には、医師や薬剤師への相談が必要です。
薬草に親しむ自由を尊重しながら、必要な医療を受ける機会を損なわないこと。
これは、薬剤師として大切にしたい基本姿勢です。

楽しさから文化が育つ
私たちはこれまで、地域に新しい薬草文化を生み出すという意味で「文化創出」という言葉を使ってきました。
しかし、最近は少し考え方が変わってきました。
自分たちが楽しんで薬草観察会を開催する。
その様子を見て、「なんか楽しそうだな」と人が集まってくる。
共に植物を学び、料理を楽しみ、交流する。
そうして人が集まるところに文化が生まれる。
文化とは、最初から創ろうとして生まれるものではなく、
楽しむ人々の営みの中から生まれるものなのかもしれません。


薬剤師として、これからも
私が目指しているのは、現代医療に代わる薬草療法を広めることではありません。
薬草に親しむ楽しさを人々と分かち合い、その楽しさを安全に続けられるよう、専門知識を生かして支援することです。
楽しさが人を動かし、
人が集まることで文化が育つ。
そして、その文化を安全に続けられるよう、専門知識で支えていく。
これからも、自分自身が楽しむことを忘れずに、皆さんと一緒に薬草のある暮らしを楽しんでいきたいと思います。
よき薬草ライフを✨🌿


